東京タクシーの名刺営業について

東京タクシーの多くの事業者では運転手が個人的に利用者と連絡を取る名刺営業を禁止していますが、現在でも密かに行われているケースがあります。名刺営業では東京タクシーの運転手が主に深夜の長距離利用客に自分の名前と連絡先などを記載した名刺を渡します。名刺には携帯電話の番号やメールアドレスが記載されており、東京タクシーの運転手は利用者に対して次回から無線センターに電話せず直接連絡をくれるよう頼みます。この方法は多くの東京タクシーの事業者が禁止しているものの、現在でも馴染みの常連客を確保するため密かに行われています。無線配車とは店舗から東京タクシーの無線センターに電話が入り、運転手が連絡を受けて迎えに行くことです。深夜に居酒屋やスナックなどへの無線配車によって大きな利益を得ている地域では、会社に内緒で名刺営業を行っている運転手が存在します。名刺営業を運転手が単独で行っていると利用者が望む時間に迎えに行けないことがあります。他に用事があって自分の馴染み客を迎えに行けない場合には、仲間に代わって行ってもらうなど協力体制を構築しているケースが多く見られます。

大手の事業者に勤務する東京タクシーの運転手は密かに名刺営業を行っていますが、個人タクシーの場合は当然のように行われています。個人タクシーが名刺営業を行う場合も、数名でチームを組んで対応しているのが一般的です。東京都心から隣接県までタクシーで帰るような場合には、車内に乗り込んで行き先を告げると運転手から名刺を渡されることがあります。運転手が名刺を渡す際には頻繁に同じ時間帯にタクシーに乗るかどうかや、深夜にタクシーに乗車する場所などを尋ねてくるケースが多く見られます。名刺営業は乗車頻度に関わらず長距離の利用者を対象として行われる傾向があり、1か月に1度くらいの頻度でも東京タクシーの運転手から名刺を受け取ったという人もいます。

名刺営業は東京タクシーの運転手にとって大きな利益になる長距離客を確保できるというメリットがあります。一方で利用者の方からタクシー運転手に名刺を渡すケースも存在します。東京の隣接県にある有力企業の経営者などが、持ち合わせがないので後日会社に集金にきて欲しいと名刺を渡すことがあります。経営者が部下や知り合いなどと一緒に乗車していた場合に、名刺だけでタクシーに乗れるステイタスを誇示することができます。最近ではクレジットカードやICカードなど現金以外の支払方法が普及し、名刺だけで乗車するケースは減っています。しかし運転手と利用者の双方にメリットがあるため、現在でも名刺を使ったタクシー乗車が行われることがあります。